絨毯の歴史が繋ぐ道「カーペットベルト」
シルクロードにある絨毯の産地は、別名「カーペットベルト」と呼ばれてます。これは絨毯造りの伝統がある地域が、シルクロードの沿道一帯に帯状に広がっているためです。イスラーム圏とほぼ重なるこのカーペットベルトは、古代より絨毯の伝播・交流があったものと言われています。
このユーラシアのシルクロード上で、絨毯文化が発達した要因は6つあります。
絨毯が欠かせない環境
シルクロードと呼ばれるエリアは、寒暖差が激しく乾燥している地域なのが特徴。日中は暑く、夜から朝にかけて冷え込みが厳しいです。しかし、そこで暮らす人々が使う遊牧テントの床部分は、家屋のように床板があるわけではなく、床部分には岩や石がゴロゴロしています。そのまま寝ると石や岩が当たり痛いため、寝っ転がるには柔らかな敷物が必要になります。
羊毛の入手が容易
カーペットベルトの地域は、絨毯の原材料である、羊毛が豊富であるという下地がありました。このエリアの人々にとって羊は、生活をするうえで欠かせない存在。住居の移動時に連れて歩くことができ、乳でヨーグルトを作り、肉を食べ、毛は衣類やバッグ、そして絨毯にしました。モンゴル帝国の初代皇帝であるチンギス・ハーンも、遠征の際は羊を連れて行ったとされています。
絨毯が必要な住環境
頻繁に移動を繰り返す遊牧民族であるため、移動式の住居で暮らします。そして食事は、テーブルを使うことなく、絨毯の上であぐらをかいて行います。そのため、遊牧民にとって絨毯はとても大切なものと言えます。
流通ルートがある
東西交流の交易路に絨毯の産地があります。地域でいうと東は現代のイラン(ペルシア)から インド・パキスタン・アフガニスタン・ウズベキスタン・中国西部のウイグル自治区などの中東地域から、中国までのいわゆるシルクロードのオアシスルート(オアシス都市を結んだルート)です。こうしたシルクロード交易路では、絨毯が頻繁に取引されたことでしょう。
絨毯が使用される機会が多い
イスラームでは、礼拝時に絨毯を使用するのが習慣です。遊牧テントの中の地面は石や岩がゴロゴロしているため、絨毯を敷いてお尻の痛みを和らげます。
大成コーポレーションでは、カーペットベルトの国々で作られた手織り絨毯のメンテナンスをしています。西はトルコ・イラン・パキスタン・アフガニスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタン・インド・中国・日本などで生産された絨毯が集まってきます。また、南米の伝統織物を洗うこともあります。このような世界中の織物は言ってみれば工芸品。つまり手作り品です。JIS規格などあるはずもなく、染色の品質は良かったり悪かったりかなり幅があります。そうした場合、どんな染色品質にも対応するためには、「経験」と「勉強」がすごく大切になるのです。
お客様に安心していただけるように、当社では染色補正(染みや汚れ、焼けを修繕すること)の公的資格取得を奨励しており、パートさんも含めて有資格者が3名います。
手織絨毯には織り方や柄に織られた国の歴史が詰まっており、それが独特の魅力となります。弊社では多くの人に、個性的で魅力ある手織り絨毯を長く使っていただけるよう、お手伝いできればと考えています。
出典:シルクロード絨毯塾「ペルシャ絨毯概論」
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